食べものの作り方が大きく変わる、ということで、産業界や理系の世界でこのところ騒がれている技術が
たとえば、
- 3Dプリンタで料理をプリントすることだったり
- 「培養肉」で肉料理を作ることだったり
します。
ですが、これらはまだ身近に実物が登場していないため、生活者にとっては何のことやらあまり実感がわかない、という状態でもありますね。
今回はこんな本があるので紹介します。
昨年秋に出版された本ですが、直訳すると
「培養肉料理本」
という感じでしょうか。
「培養肉」を使ってどんなステキな料理ができるかを解説している本です。
In Vitro というのは
「試験管内で」
という意味です。
培養肉はそもそも、畜産動物の細胞を試験管で培養し、肉だけを作るというものですが、
畜産動物の命を奪いたくない
と思う人が大勢いることや
将来の食糧危機対策として新しい食糧生産の方法が必要だ
という社会的な課題があるため、さかんに研究が進められています。
それにしても、培養肉がまだぜんぜん普及していないのに、こんな料理本が出るなんて、気の早い人もいるものです。
▽
さて、ちょっと面白いのは、この本のあいさつ文にこんなことが書かれていることです。
Hello meat lovers, hello vegetarians.
肉好きの皆さん、こんにちは。菜食主義の皆さん、こんにちは。
肉好きの皆さん、は分かるけど、菜食主義の皆さんって?
なぜ、肉の本なのに、菜食主義(ベジタリアン)に語りかけているのでしょうか?
じつは、ベジタリアンには3種類あります。
- 肉が嫌いで、野菜が好きな人
- 肉は健康によくないという考えで肉を避けている人
- 肉は好きだけど、食べない人
この3種類です。
最後の
「肉は好きだけど、食べない人」
というのは、動物愛護の観点から、肉を我慢しているのです。
たとえばアメリカにはベジタリアンを自称する人が1000万人以上、いるようですが、その多くが
「肉は好きだけど、動物愛護のために肉を食べないようにしている」
という人たちです。
つまり、
「肉好きベジタリアン」
ということですね。
なのでこの本は、
「肉好きベジタリアンでも心を痛めることなく肉を食べることができる」
という意図もあり、菜食主義者にもあいさつをしているわけです。