たとえば、
「青魚を食べると、頭が良くなる」
と、よく言われますが、本当にそうなのでしょうか。
じゃあ夏休みの自由研究として、自分で毎日魚を食べることにしよう。
いや待て。
自分だけ頭が良くなってもまぐれかもしれないから、親しい友達にも毎日魚を食べてもらって、どうなるか調べてみるのだ。
いや待て。
親しい友達だけでは、サンプル数が少なすぎる。
クラスメイト全員に声をかけて実験に参加してもらおう…。
…と、ふつうはこんな感じで研究が行われるわけです。
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しかし友達の1人が言いました。
「毎日みんなに魚を食べてもらうのは大変だよ。そんなことしなくったっていいんじゃないかな。過去に同じような研究をした人は、大勢いると思うから、昔の研究論文を集めて、比べてみたらどうだろうか」
なるほど、それはグッドアイデアだ。
インターネットで調べたり、図書館で調べたりしたら、きっと昔の研究結果がいろいろ出てくるだろう。
それを並べてみれば、
「青魚を食べると頭がよくなる」
のかどうか、傾向が分かるかもしれない…。
…これを
「メタ・アナリシス(メタ分析)」
といいます。
自分で直接研究するのではなく、過去の研究結果を片っ端から集め、比較するのです。
そうすれば、多くのサンプル人数で実験したのとある意味ほぼ同じことになります。
あえて名探偵にたとえるなら、
★自分で現場に出て研究する。=シャーロック・ホームズ型。
ホームズは、自分で虫眼鏡を持ち、事件現場を調べまわり、犯人の手がかりを捜します。
★他人の研究をいろいろ調べ、結論を出す。=ミス・マーブルのような安楽椅子探偵型。
安楽椅子探偵は、自分では現場に行きません。
現場に行った人の話を聞きながら、推理をする。
メタ・アナリシス(メタ分析)は、後者の安楽椅子探偵型に該当します。
▽
こう書くと、ずいぶんズボラな研究方法だな、と思う人もいるかもしれません。
しかし実際にメタ・アナリシスをするには、統計学の知識がかなり必要ですので、やってみるとなかなか大変です。
大学などにはメタ・アナリシスの専門家がいて、実際の研究者とタッグを組むことが多いようです。